【五島リトリート ray】五島の風景を、デザインする。橋本夕紀夫が描いた「The View」という思想

2026 - 04 - 28

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長崎県・五島列島。

目の前に広がるのは、どこまでも続く海と空。その雄大な景色と静かな時間に包まれるように、五島リトリート ray by 温故知新 は佇んでいます。

この空間デザインを手がけたのは、インテリアデザイナー 橋本夕紀夫 氏。橋本氏が掲げたテーマは、「The View」。眼前に広がる海と空の景観を、建物の中へ取り込むこと。五島の自然を主役にするために、この空間は設計されています。

五島の風景と響き合うデザイン

橋本氏がこの空間で大切にしたのは、五島の自然を建物の中へ取り込むことでした。その象徴のひとつが、「漣(さざなみ)」というキーワードです。

五島の海に広がる穏やかな波の揺らぎを、空間の中にも映し出したい——。そんな想いが、館内の随所に息づいています。ロビーに施された鈍い鏡面のアルミパネルには、その日の海や空の景色がぼんやりと映り込み、外と内の境界を曖昧にします。

さらに、アプローチや一部客室に設けられた水盤では、時間帯によって光が揺らぎ、壁や天井に美しい陰影を映し出します。

建物の中にいながら、まるで自然の中に身を置いているような感覚。それこそが、この場所ならではの体験です。

五島の記憶を、空間に映す

五島リトリート ray の魅力は、絶景だけではありません。空間の随所には、五島という土地の記憶が丁寧に織り込まれています。

たとえば、客室に取り入れられたモノトーンのステンドグラス。五島に根付くキリスト教文化から着想を得たデザインです。

鮮やかな色彩ではなく、あえて白と黒を基調にすることで、景色の美しさを引き立てながら、静謐な空気を生み出しています。その背景には、華美な装飾を排し、質素さを重んじたシトー会の美意識もあるといいます。

また、館内の廊下にも橋本氏の思想が表れています。キーワードは 「framing」。余計な装飾や情報を削ぎ落とすことで、その先に広がる景色をより美しく見せる設計です。

この空間には、五島の自然や文化を“語りすぎずに伝える”ための工夫が、静かに息づいています。

ホスピタリティは、目に見えないデザイン

五島リトリート ray  の価値は、空間だけでは完成しません。そこに滞在体験が重なることで、この場所ならではの時間が生まれます。

五島の恵みを味わう食体験。
自然に身を委ねるスパ。
そして、静けさを守るスタッフの距離感。

心から休める空気感まで含めて、このホテルの体験です。

美しい空間をつくるだけではなく、その土地を深く味わう時間を届けること。それもまた、温故知新が大切にしている滞在のあり方です。

デザインは、地域への敬意である

五島の自然、文化、記憶。

それらを丁寧にすくい上げ、新たな滞在体験へと磨き上げていく。その姿勢は、温故知新が大切にしてきた「地域の光を見つける。磨いて、届ける」という考え方にも重なります。

旅先で、ただ美しい景色を見るだけではなく、その土地の空気まで持ち帰る。五島リトリート ray は、そんな五島との出会いを深める場所であり続けています。