【五島リトリート ray】焼酎の香りから生まれた洋菓子。地域とつくる 「椿焼酎ティグレ」の物語

更新日:2026 - 04 - 20

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焼酎の魅力を、もっと多くの人へ

長崎県・五島列島には、豊かな自然とともに育まれた多くの特産品があります。その中でも芋焼酎は、昔から地域に根付く文化のひとつです。

一方で、その楽しみ方は「お酒として味わうもの」という印象が強く、まだ新しい広がりの余地も残されています。そんな思いが、今回のプロジェクトの出発点でした。

ワインや日本酒は、料理やスイーツと組み合わせることで新しい魅力が生まれています。焼酎にも、同じように別の形で楽しむ可能性があるかもしれません。

五島リトリートrayでは、五島列島酒造と共同で「椿酵母焼酎」というオリジナル焼酎を開発しています。この焼酎は、フルーティーで華やかな香りが特徴です。

「この香りを、飲む以外の形でも楽しめたら面白い」

そんな発想から生まれたのが、焼酎と洋菓子を掛け合わせた新しい取り組みでした。

地元パティスリーとの出会いから始まった挑戦

プロジェクトは、地元の洋菓子店「波止場パーラー」との連携から始まりました。

きっかけは、事業部長自らが「この焼酎を使ったお菓子は作れないか」と直接相談したこと。地域で活動する中で生まれたつながりと、新しいことに挑戦したいという想いが重なり、共同開発がスタートしました。

しかし、開発は簡単ではありませんでした。

最初に試したのはフィナンシェでしたが、焼酎の香りは加熱や時間の経過によってどうしても弱くなってしまいます。出来たてのときは香りが立っていても、時間がたつと焼酎らしさが感じられなくなってしまうのです。

「美味しいお菓子にはなるけれど、焼酎の魅力が伝わらない」

そんな課題に向き合いながら、試作と改良を何度も重ねました。開発期間は約3か月。何度も試作を繰り返す中でたどり着いたのが、焼酎を練り込んだガナッシュを使う方法でした。

香りを楽しむスイーツ「椿焼酎ティグレ」誕生

ガナッシュを使うことで、口に入れた瞬間にふわりと広がる焼酎の香りを表現することができました。

チョコレートのコクと、椿酵母焼酎のフルーティーな香りが重なり合う新しいスイーツ。「椿焼酎ティグレ」の誕生です。

仕上げには金箔をあしらい、見た目にも特別感のある一品となりました。

さらに、このスイーツは単体で楽しむだけではありません。地元で育てられているレモングラスを使ったハーブティーとのペアリングも提案しています。

五島の自然の恵みを感じながら、香りと味わいの組み合わせを楽しむ——。そんな体験として、2025年12月からホテルのバーやカフェで提供を開始しました。

お菓子から広がる、地域とのつながり

この取り組みは、単なる商品開発にとどまりません。

ホテル、酒造、そして地元の菓子店。それぞれの強みが重なり合うことで、五島らしい新しい価値が生まれました。

今後は、ショップでの販売も予定しており、3個入り2,000円のセットとして展開する計画です。さらに、商品にはレシピを添え、自宅でも挑戦できる形にすることも考えています。

実際に作ってみることで、「香りを残すことの難しさ」や「プロの工夫」を感じてもらう。そんな体験が、再び五島を訪れるきっかけにつながるかもしれません。

また、波止場パーラーでのスイーツ作り体験など、訪れる人と地域のお店が直接つながる機会づくりも検討しています。

こうした活動を続ける中で、地域の新たな課題とのつながりも見えてきました。たとえば、磯焼けに悩む漁業者との連携や、海の環境を知る体験型の取り組みなど、観光と地域課題を結びつける可能性も広がり始めています。

焼酎の香りから始まった小さな挑戦は、やがて地域の魅力を改めて見つめ直す活動へと広がりつつあります。

五島を「味わう」だけでなく、「感じて、関わる」体験へ。
そのストーリーは、これからも少しずつ育っていきます。