IKI’s GIN PROJECT.海里村上×壱岐の蔵酒造 #1【旅先案内人 vol.21】

Published On: 23-02-08Tags: Categories: Story

観光客が激減する中、どうにかして「壱岐の良さを遠方の方にもお届けしたい」という強い思いではじまった「IKI’s GIN PROJECT.」
魅力的な食材の宝庫壱岐島のフードロス問題にも着目し、地元の酒蔵、農家、漁業も巻き込んだ一大プロジェクトの奮闘を連載でお届けします。

壱岐の良さを遠方にも届けたい。

福岡県博多港から高速船利用で1時間ちょっとで向かうことのできる九州の離島、壱岐。壱岐と聞いて皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?
豊かな自然、海、食材、焼酎、神社、歴史…。


コロナの影響を受け全国的に観光客が激減。観光産業が大打撃を受ける中、壱岐リトリート 海里村上が位置する長崎県の離島、数多くの魅力をもつ壱岐でも同じように観光客が激減しました。

観光客が激減する中、どうにかして「壱岐の良さを遠方の方にもお届けしたい」という強い思いで、地元の酒蔵、壱岐の蔵酒造株式会社×壱岐リトリート 海里村上の共同企画が始動。壱岐の蔵酒造の石橋さん、海里村上の貴島さんからお話を伺いました。

海里村上と壱岐の蔵酒造の共同企画【IKI’s GIN PROJECT】

【IKI’s GIN PROJECT:クラフトジンプロジェクト】
「壱岐の良さ、壱岐焼酎の良さ」を遠方に届けること。そして、SDGsな観点から島のフードロス問題にも着目。
焼酎が苦手な人でも飲みやすいという壱岐の蔵酒造の焼酎をスピリッツ、壱岐の豊富な食材たちの残念ながらロスとなってしまった食材を地元農家さんや農協などの協力を経てボタニカルとして有効活用。
これぞまさに「made in 壱岐」というクラフトジンを商品化する共同企画。


壱岐の蔵酒造


壱岐リトリート 海里村上

挑戦が生んだ「Japanese Iki Craft Gin KAGURA」

プロジェクトがスタートしたのは、2020年の春ごろ。
なぜ、クラフトジンというジャンルに目をつけたのか。「壱岐って実は麦焼酎発祥の地なんです。僕も壱岐島にきて初めて知ったんですが、とても飲みやすくて香りもいいんです。でもなかなか若い人に届かないなと。そこで、ブームになっているクラフトジンを焼酎をベースに造れないかなと思ったんです」と海里村上の貴島さんが語ってくれました。
確かにここ数年でクラフトビール、クラフトジン 、クラフトコーラなどが流行しており多くの商品を目にする機会が増えたように感じます。

また、理由としてその「自由さ」が魅力だと教えてくれました。

「ジンは他のスピリッツと比べると割と自由に造ることができるんですよね。壱岐の蔵酒造の癖のない飲みやすい焼酎と相性がいいのはもちろんですが、クラフトジンはベースとなるお酒(ベーススピリッツ)に、ボタニカルを加えて蒸留することで香りづけしています。そのボタニカルに、ロスになってしまっている壱岐産の食材を使用すれば、いい商品になるのではないかと考えました。」

壱岐焼酎の良さを生かしながら、島のフードロスを減らす何かを考えた時、クラフトジンが流行していた。着目した理由にも納得です。

壱岐の蔵酒造の石橋さんは、「島の活性化を含め、何か新しいことに挑戦していかなければならないと感じていました。焼酎は、一部の農家など狭い範囲にしか貢献ができませんが、ジンにすることでボタニカルが必要となり、さまざまな農家さんを巻き込んだ企画にすることができる。当初は、『焼酎があるのになぜジンなのか?』となかなか社員の気持ちもついて来ず苦労もしましたが、2021年3月頃に行ったクラウドファンディングが成功したことで社員の士気も高まり、ジン造りに積極的に参加してくれるようになりました。」

IKI’s GIN PROJECTにより完成した、「Japanese Iki Craft Gin KAGURA」(以下「KAGURA」)は「壱岐島の味を全国に届けるクラウドファンディング」で目標金額に対し200%を達成しています。その裏にある、石橋さんや貴島さんの苦労、その他社員、農家さん、農協などの想いがあっての商品完成、このクラウドファンディングの結果は必然であるかのように感じます。完成した第1弾の「KAGURA」はその後の一般発売でも1か月で売り切れ、知る人ぞ知る“幻”のクラフトジンとして、壱岐の蔵酒造と海里村上の企画は本格的に形となりました。

「Japanese Iki Craft Gin KAGURA」の特徴

壱岐リトリート 海里村上の料理長とソムリエが監修したジンは体にスッと染み込む優しい味わい。ベースの壱岐焼酎に壱岐産のボタニカルを漬け込み、再び蒸留して造る、麦焼酎発祥の壱岐ならではの和食に合うクラフトジン。

「味の配合やボタニカルの選定は共同で行いました。漬け込んだボタニカルには、イチゴ、橙、麗紅、はるか、ゆず、はちみつ、アスパラ、モリンガ、木の芽、島の特産品である雲丹の殻、海里村上の温泉、ジュニパーベリー。まずは思いついたものはなんでも入れてみようと、試作を繰り返していく中でボタニカルは決定しました。」と教えてくれました。海里村上の温泉や雲丹の殻…。島の魅力や壱岐焼酎の魅力を肌で感じた貴島さんや、壱岐で育った石橋さん、料理長やソムリエの力が集結して生まれたアイデア力とその味を見極める力に脱帽です。


試飲会の様子

イチゴと壱岐焼酎の原料である米に由来したほんのり優しい甘味と、その他の素材によって生み出されるジン特有の苦みにより「KAGURA」独特の複雑なアロマが広がります。実際に海里村上の食事にて「KAGURA」ならではの和食とのマリアージュを楽しむことができます。


和食に合うジン

「神宿る島」をキャッチフレーズに

第1弾のボトルデザインは壱岐の蔵酒造の島生まれ島育ちのスタッフが担当し、どこまでも青い壱岐の美しい海と、約700年近く受け継がれてきた伝統と歴史を持つ壱岐の神事芸能・神楽をデザイン。


第1弾:「Japanese Iki Craft Gin KAGURA」

壱岐は神社密度が日本一と言われており、島内の神社は神社庁に登録されている神社だけでも約150社。その他の神社、祠(ほこら)を含めると約1,000社にもなるそうです。そんな壱岐の神社で代々続く「壱岐神楽」は、約700年の古い伝統と歴史をもつ神事芸能。壱岐の神社に奉職する神職にしか舞う事や音楽を演奏することが許されないきわめて神聖なもので、国指定重要無形文化財にも指定されています。

「壱岐でしか造れないこのクラフトジン、そんな神楽から名前を拝借しました。ボトル中央に描いたのは男嶽神社に“導きの神”として鎮座している「猿田彦命」(サルタヒコノミコト)です。できる限り壱岐産のものを使用し「made in 壱岐」にこだわることに意味があると思っています。」と石橋さん。石橋さんの壱岐を愛する想いが詰まりに詰まったクラフトジン「KAGURA」には神宿る島の力が十分に反映されているに違いありません。

「Japanese Iki Craft Gin KAGURA」は次のステップへ

“幻”のクラフトジンとして即完売した「Japanese Iki Craft Gin KAGURA」きたる2023年3月に、第2弾「KAGURA」の発売が決定。

「第2弾は、生姜のスパイシーさを感じることのできるジンになっています。」「ラベルの素材にもこだわり、第1弾とはまた違う魅力のある「KAGURA」になりました。」と貴島さんと石橋さんは教えてくれました。

第1弾とはまた少し違う、「made in 壱岐」にこだわるジン造り。
新たな魅力を次回ご紹介いたします。