【礼文観光ホテル 咲涼】眠っていた文化資産に新たな命を吹き込む「木彫り熊」アートプロジェクト

更新日:2025 - 10 - 27

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 礼文観光ホテル 咲涼の倉庫に、長年静かに眠っていた「木彫りの熊」。
大正時代から続く「木彫り熊」は、北海道を象徴する民芸品でありながら、時代とともに扱われ方が変化してきました。そんな熊たちが今回、アートの力で新たな命を吹き込まれました。 

本プロジェクトの背景や想いについて、咲涼の西村総支配人と、制作を手掛けた株式会社家’s 代表 伊藤氏にお話を伺いました。 

 

倉庫に眠る木彫り熊に、光を当てる

「やらないよりも、やった方がいい」。
その直感が、西村総支配人の背中を押しました。ホテルが持つ貴重な文化的資産をどのように活かすかを考える中で、「しまっておくよりも、もう一度光を当てたい」という想いが生まれたといいます。

眠っていた熊たちに再び命を吹き込み、島の文化や歴史を未来へつなげていく――そんな想いが、このプロジェクトの根底にあります。 

礼文観光ホテル 咲涼の倉庫におかれていた北海道の民芸品「木彫り熊」

 今回の熊のアート制作を手掛けたのは、富山県高岡市を拠点に古いモノの再生事業を展開する株式会社家’s。同社は、木彫り熊をアートの力で甦らせる『Re-Bear Project』を進めており、伝統と現代感覚を融合したアートワークを数多く生み出しています。今回は咲涼の世界観に合わせ、ホテルオリジナルの塗装をオートクチュールで仕立てていただきました。 

 

古き良きものに新たな個性を 

「伝統工芸を新しい形で表現する意義を感じながら、職人たちは一体一体異なる熊の表情や質感と向き合い、丁寧に仕上げていきました」と伊藤氏。

ホテルのテーマカラーである“緑”をまとわせることで、古き良き文化資産に新たな個性と生命力を与えました。 あえてシンプルな塗装にすることで木の温もりを活かし、熊本来の魅力を引き出すよう工夫されています。 

ホテルのテーマカラーである“緑”をまとわせる

  「木彫り熊は北海道の文化資産。その魅力を現代的な感性で伝えることができるのは誇りです」と伊藤氏は語ります。一体一体と真摯に向き合いながら、手仕事のぬくもりを通して新しい価値を生み出す――この姿勢こそ、家’sが大切にする“アップサイクル”の精神を体現しています。 

制作の様子

 

海を越えた文化の架け橋 

今回のプロジェクトのもう一つの特徴は、北海道の木彫り熊と、富山・高岡の職人たちが出会ったことです。
実はこのふたつの地域は、歴史的にも深い縁で結ばれています。かつて江戸から明治期にかけて、北海道と富山は北前船によって活発に交流していました。 

日本海を往来する商船は、蝦夷地の海産物と本州の物資を運びながら、各地に文化をもたらしました。北海道からは昆布やニシン、魚肥などが運ばれ、富山からは米や織物、生活雑貨が届けられたといいます。 

北前船:江戸〜明治期に日本各地を往来した交易船。(高岡市公式HPより引用)

その交流を通じて富山では昆布を使った独自の食文化が発展し、今も日常の食卓に息づいています。また、明治期には富山から北海道へ漁業や昆布採取の出稼ぎに向かう人々も多く、地域を越えた絆が築かれました。 

こうして北海道と富山は、海を隔てながらも人・物・文化の往来によって支え合い、豊かな暮らしと経済を築いてきたのです。 

咲涼で提供されている「ホッケの昆布締め」と「ホッケのちゃんちゃん焼き」

富山の伝統工芸の技術が、北海道の文化資産である木彫り熊に新たな息吹を与えること――それは、歴史的なつながりの延長線上にある出来事とも言えるでしょう。

地域の文化的背景を踏まえながら、現代のアップサイクル思想と職人の手仕事が融合したことで、木彫り熊は“時代を超えて受け継がれる新たな文化資産”へと姿を変えました。 

 

木彫り熊がつなぐ、ホテルと島の物語 

完成した熊は今後、ホテルショップやECでの販売、館内展示などでの展開を予定しています。海外からの来訪者にも発信し、木彫り熊を通して礼文島の文化と魅力を伝えていく計画です。 

「ホテルに宿泊されるお客様だけでなく、地域の方々や観光で訪れる方にも、木彫り熊をきっかけに礼文島の魅力を感じてほしい。『こんな面白い取り組みをしているホテルなんだ』と驚いてもらえたら嬉しいですね」と西村総支配人。

来シーズンに向けては、ショップの改装や特設コーナーの設置も検討されており、 倉庫で静かに時を過ごしていた熊たちは、今、再び旅立ちの時を迎えています。 

【Re:bear Project 限定コラボ】木彫りのくま|礼文観光ホテル 咲涼

 

“何もない島”に、すべてがある  

北海道最北端に位置する礼文島。
雄大な自然と四季折々に咲く花々、澄みわたる海、広い空――そのすべてが、ここでしか見られない風景を描き出します。「何もない」と言われることもありますが、実際には手つかずの自然、息づく文化、そして島の人々の温かさなど、“何でもある”島なのです。 

木彫り熊アートプロジェクトは、礼文島の豊かな自然や文化、歴史を改めて見つめ直すきっかけであり、地域を越えて人と人、技と想いをつなぐ象徴でもあります。 ホテルを起点に広がるこの物語は、島の新たな未来への一歩として、静かに、そして力強く息づいていくでしょう。 

礼文島から見る利尻富士

 

作品(商品)概要

・商品名: 【Re:bear 限定コラボ】木彫りのくま|礼文観光ホテル 咲涼

・サイズ:1点ごとに異なる(目安:高さ12cm~18cm)

・価格:35,000円(税込)~

・販売開始日:2025年10月28日(火)

・販売点数:3体

・販売場所:温故知新 公式ECサイトはこちら

 

「礼文観光ホテル 咲涼」について

咲涼は、4月~10月の期間限定で営業する海に面したシーズンホテルです。

目の前には日本海が広がり、晴れた日には利尻富士を間近に望むことができます。海側に面した客室や2階のダイニングからは、透き通る穏やかな海と雄大な利尻富士を眺めながら、刻々と変わる自然の表情を静かに感じることができます。礼文島の歴史と物語に触れながら、ダイナミックな地形に豊かな植生、そして手つかずの自然が織りなす唯一無二の島景色を堪能いただけます。

<概要>

・ホテル名:礼文観光ホテル 咲涼(さりょう)

・所在地:〒097-1201 北海道礼文郡礼文町香深トンナイ277 

・客室数:全100室(洋室64室、和室32室、和洋室4室)

・営業期間:4月~10月 ※冬季休館

・付帯施設:大浴場(礼文温泉)、レストラン、宴会場、ランドリーコーナー、売店など

・Email:[email protected]

・公式サイト:https://rebun.by-onko-chishin.com/

・Instagram:https://www.instagram.com/rebun.saryo/